OHLINSのクローズドカートリッジ(TTX)です。去年末購入して今までずっと使ってきました。最初のテストは125EXCに取り付け、その後はしばらく太一君に使ってもらってインプレをもらいました。今は僕の250SXFにつけていて、そろそろメンテナンスの時期かなあというわけで、オーバーホールを行いました。
このカートリッジキット、それぞれの車両に対してスプリングレートを変えて装着してきましたが、どれに対してもとても良い動きで今もとても満足しています。どんな構造をしているのかなあっていうのがとっても興味深いですね。
久々にこんなきれいなパーツ類を見ましたよ。僕が今持っている貴金属の中で最も高価な品物です(笑)。
ぱっと見で、リバウンド、コンプレッションのピストンは削りだしのゴールドです。ピストン径はコンプレッション側が比較的大きなサイズで、ただしシムの最大径はWPなんかと同じ径でしたね。リバウンド側のピストンは、一般的にWP、KYB,SHOWAなんかと殆ど一緒です。インナーカートリッジ内のオイルを泡立たせないためのアイテムとして、フリーピストンを使っています。
各々パーツのレイアウトを見て、ダンパーが良く効きそうな構造です。一番にびっくりしたのは、インナーカートリッジ内のリバウンド側にもう一層シリンダーが有る事です。一般的に(僕が思うにですが)クローズドカートリッジはリバウンド側のダンパーの感じが少ないように思います。ですがこのカートリッジはがっちり効きます。カートリッジ単体でリバウンドアジャスターを最強にするとインナーロッドが戻ってきません。最初はガス抜けしてしまったか、組み間違えしたのかと思ってもう一度分解しそうになりました。なるほどー、これは接地感でるはずだよーー。って思いましたね。
写真には有りませんが、インナーロッドは8mmと細いタイプです。材質はスチールで少々重たいのですが、一般的な12mm径よりも剛性が落ちて、しなやかなフィーリングが出てくるんだと思いました。
パーツ一個一個も綺麗ですし、構造も凝っているし、うっとりしちゃいましたね。改めて買っておいてよかったですよー。
シム類はWPと一緒で内径が8mmと6mmを使っています。ですので僕にとってセッティングがやり易くて助かりました。あんまり手持ちで無いシムを使われていると後々面倒だなって思っていたんです。
でも…なんかこのシムは、WPと出どころは一緒っぽいですけど、厚さを一枚一枚測ってみるとWPとはちょっと寸法の誤差がちがっているような気がしました(0.05刻みなはずなんですが)。まあこんなのはどっちでも良いことなんですが、シムの仕上げ自体はWP同様にとても良い品物でした。
ちなみに今回は初回の分解っていう事と、もう一度ノーマルでテストしてみたいことがあり、シムの変更はしておりません。
シムの配列の仕方は、やっぱ特徴的ですね。この辺りはメーカーそれぞれ、いろいろってところなんですが、OHLINSはやっぱ比較的WPに似ていると思いました。
なるほどーと思わせる部分もあって、各々に生かせればよいと思いました。
結構カートリッジ内の組み付け方が難しそうだったので、ちゃんと組めるかなあ?とドキドキしていたのですが、あっさり組みつけられました。最後に、カートリッジ内のエア抜きをしっかり行わなくちゃならなくて、そこだけが面倒な作業でした(写真は撮り忘れました)。
インナーカートリッジを全て組み付け終わり、最後に窒素を充填します。4Barもかけています。単純に泡立ちにくくするって事なんでしょうけど、ガス圧を上げていくと初期作動に影響しそうなんですが、乗ってみると全く影響は出てこないんですよ、これが。
ちなみに良い写真が無いのですがWPはこれ、
ブラッター(汗)です。ブラッダーーーですよ、もう。。
窒素ガス圧は1.8から僕は1Bar位を行ったり来たりしながらセットしています。
OHLINSの様に硬さが出ないんでしたら、フリーピストンっていうのがいいですよね。ガス圧も落ちにくいですし、なんと言ってもいかにも欧州メーカーって雰囲気が出てますよね。分解組み付けもお手入れもいちいち面倒な窒素管理にするあたりは、やっぱ何か個性的だなあと思います。
また、ちなみになんですが、これはKYB。SHOWAも同じ構造です。スプリングでフリーピストンに圧力をかけています。写真のピストンは純正パーツではありません。すみません。
スプリングもいくつか種類が有ると思います。強弱を使い分けてサスペンションの動きに影響させるんだって聞いたことがあります。やっぱりそうですよね。。
これは以前載せた絵ですが、結構重要な作業だと思います。スプリングプリロードをかけるにあたって、プリロードゼロの寸法を探ります。スプリングとプラスプリロードスペーサーを使って全長管理をするのですが、クローズドカートリッジはここまで分解しないと計れません。
ちなみにWPの側にTTXを入れる場合のノーマルの寸法は479mmってとこですね。ここにスペーサーを何ミリ入れるかで基礎的なサスペンションの動きの設定が出来ると思います。
今回は150XCにこのフォークを取り付けますので、スプリングもそれにあわせたレートをチョイスしました。テストしたコースはここのところしょっちゅう行っている富津で試しました。最初に車両についているWPでしばらく走行して、それからOHLINSを試したのですが、やっぱりとっても好感触でした。
またこれをベースにして、今後は更にセッティング変更って事に進めて行きたいと思っています。
SXF12モデルももうそろそろ乗り収めって事で、このマシンで最後のフォークのモデファイを行いました。
まずはスライドメタル。これにちょっとしたコーティングをしました。勿論フリクションレスを狙ってなんですが、ずっとやってみたかったんです。オタク心がくすぐられませんか?(笑)。これを紹介してくれたのは、YしMらJAPANの坂本くん、どうもありがとー。
エンデューロで、サスペンションの初期作動って特に重要だと思います。まだ何回かしか使っていないのですが、なんか良いフィーリングですよ。一個辺りの単価もそれほどでもないです。13モデルでも当然試して行きたいと思います。
あとはオイルロックカラーをいろいろと・・・これは以前から試しているのですが、今付けているのがオレンジのタイプです。確実に底付のフィーリングが改善されます。二つ並んでいる左側がノーマルで、右側がSXS(WP)フォークのオイルロックピースです。これはまだ試していないので、今後のお楽しみってとこですね。
ただ、でも、ここのところOHLINSと比較してみて感じたのですが、WPはもう少し工夫してみて、ボトムに至るまでのフィーリングをもう一歩改善していきたいと感じています。幅広くスプリング・シム・オイル・またそれ以外のパーツトータルで更に良くなるんじゃないかなあと思っています。
13モデル、楽しみですねぇ。