大川さん号(150XC)です。
去年納車されて、10月の日高、11月のSUGO、そして今年第一戦目のSUGOまでマシンを仕上げてきました。レースを重ねるたびになかなかいい感じに仕上がってきたように思います。
ライダーもIBからIAに上がって、厳しい戦い(SUGOは凄いコンディションで大変なレースでした。走りきったライダー、チャレンジしたライダー、全員とってもすばらしかったと思います。心底拍手でした。)になるのですが、一戦目から好リザルトで走り終え、僕としても、うーーん、なかなかとても良い気分でしたね。
今回は今までのモデファイ内容のまとめって事で書いてみたいと思います。
今回エンジン関連は置いとかせてもらって、足回り関連です。
150XCはもともとUS仕様ってことで発売されていると思います。全体的にハイスピードな設定で、スピードが乗ってきて安定する車体のような印象でした。タイトなコーナーの事とかあんまり関係なくて、高速コーナーや高速のギャップにたいしてセットするとこんなマシンになるのかもしれないですね。まあこれは僕なりの感想です。当然それぞれ印象は違うと思いますが、日本のコース(やや狭くて硬い路面も、とーぜんマディーも有る)に合わせて作ってみるとこんな方向になるのでは??ということで、何か参考になる事があれば良いかなあと思います。
まずはフォークスプリングの交換です。150XCのノーマルは4.2N/mmです。今回大川さんのは思い切って3.8N/mmに落としました。4.0っていうデータは去年の日高、SUGOでありましたので、これを参考に、もっとやわらかくてもいいんじゃね?ってことで出た結果です。
ついでに僕のマシン250SXFでも同じようにテストしてみました。4.4Nから4.0Nに二段階落としです。まあこれが結構具合良く走るんです。ノーマルですとちょっとやそっとではフォークが沈み込まないのですが、これだけソフトにするとブレーキングでフロントブレーキレバーの握り代に合わせてフォークの動きが判り易くなってきます。剛性があってハイレベルなクローズドカートリッジが、身近な品物に変わってきましたねえ。
WPのクローズドをセッティングするにあたり、この辺りはかなり肝になってくると思います。みなさんも一度、お勧めですよ。
OHLINSのTTXでも行ったのですが、WPでもセットされた状態で何ミリカラーをいれた時がスプリングプリロードがゼロなのかの確認をします。オープンカートリッジと違って、クローズドカートリッジは面倒な作業です。ゼロからどのくらいプリロードをかけるかで、フォークの動きがまったく変わってしまいますので、これは重要な作業だと僕なりに感じています。
スプリングは例によってピカピカに磨きます。これはまあ気分的な問題でもあるのですが、絶対少しはサスペンションの動きに効果は出ていますよ(笑)。まあ小さなことの積み重ねが大事だと思います。それが集まってよい品物なのかなあと。
ドスンとレートを落としたスプリングなのですが、これに対応するシムの並び換えを行っています。
このマシンに対しても、基本的には今まで試してきたデータの応用になります。まずはどんな風にサスペンションを動かしたいのかを考えて並べていくのですが、僕の中でのエンデューロ向きのセットというのは既にある程度決まっていますので、ライダーの技量や、マシンの重量(排気量)、2STか4STかってことと、勿論ライダーの体格も考えて強弱をつけていきます。
初期の動きを改善して、大きな入力に対してしっかり踏ん張る。また無駄なストローク感を感じさせないっていう動き方を狙っています。
今回は田中太一君のセットの応用です。各々の車重を比較して少し柔らかくセットしたのですが、その割りにこのマシンはスプリングレートが低いですのでちょっと過積層な雰囲気になります。ですが想像してみてよいイメージが出来たのでこれで行くことにしました。
オイルロックカラーです。KTMの純正パーツではありません。USのサスペンションメーカーのパーツになるのですが、これは結構効果が体感できます。狙いは底付性能を良くするといったところなのですが、見事に出ていますね。ただ今回は考えていたよりも結構早めに利きが感じられる雰囲気になると思いました。
この辺り、もう少し煮詰める必要がありそうです。課題として今後再度…です。
ローダウンリンクです。
150XCは元々シート高で12mmほど、150SXに比べてローダウンされています。これを150SXの仕様に戻しましたので、これだとやっぱりエンデューロには高すぎるかなっていうので使いました。以前にも250SXF(自分のマシン)でテスト済みです。
車高にして、えーと…一センチ未満位ですかねぇ、低くなります。サスペンションのストロークはフルに使えて、ほんのわずか低くなりリアショックの動きもなんだか緩やかになる雰囲気で、とっても好感触です。結構お勧めだと思います。
ちなみに4サイクル・2サイクルで共通部品になります。後はフォークの突き出しを調整してお好みの車高にってとこですね。これはいいですよー。
で、忘れてはならないのがリアショックスプリングです。これは48N/mmを選択しています。既に去年のSUGOから使っています。
ノーマルは51Nでこれはやっぱり固すぎだと思われます。48Nを使ってローダウンリンクをいれるか、更に45N(こんなのも設定がありますが、とっても高価なのです)に落としてノーマルリンクを使うかを最後まで大川さんと悩みました。
結果的には48Nをチョイスしたわけですが、両方の比較っていうのもやってみたいですね。
全く話は変わります。
車両はフサベルのTE125(ABさん号)です。キャブレターをチェンジしました。
マシンは去年の六月から使っていて、ピストンでもチェックしてみるかって事で上だけOHしました。「してみるか」って言っても、ここのところパワーダウンがかなり体感できるようになっていて、期間的にも当然点検しなくてはならないタイミングでした。で開けてみた結果がこれ。
もうかなりスカタンなピストンでした。よくぞここまで使いましたねー的な状況で、テフロンは当然剥げてピカピカ。吹き抜けも相当していました。ちょうど同時期に池田さん(同じマシンです)もピストン交換をしていたのですが、全く同じ状況でした。
半年でこんなになるのはなかなか見たことが無かったのですが、去年のJECって雨降りがほとんどで、水は吸うは、ぐちゃぐちゃでエンジンに負担はかかるわって状況が多かったので、そのせいかなと思います。いやいや、二人とも開けっぷりが良かったんでしょうね。
基本的にはやっぱり半年に一度はピストンを点検したほうが良いと思います。リングもHONDAのを使えば安いですし、ピストン交換しないまでもリングだけでもずいぶん良くなりますよ。是非作業してみてください。
で、キャブレター。品物は39mmのPJです。09のKTM125のときにABさんが購入したもので、再度取り付けて見ました。ノーマルは36mmのPWKなのですが、低速のレスポンス重視の乗りやすい36mmに比べて上重視になる39mmはめちゃくちゃ楽しいマシンになりますよ。レースでタイムがどーだこーだっていうのは抜きにしても良いと思います(笑)。
その中間に38mm(現行の125SXノーマル)があって、一押しはこれ(38mm)ですね。セッティングも39mmに比べたら出しやすいですし、パワーも下から安定して上まで出てきます。何か変化をつけたい方にはこちらが良いと思います。
でもまあ39って面白かったです。150SXとかXCのパワーの出かたとは違って、トゲトゲしていません。ダアーンって突然出る訳でなくて、ばーーーっと安定して上まで回るエンジンなので、扱いやすいんです。こんな特性ならまだまだパワーが出ていても良い気がしますね。ABさん、上手く使えるかな?
付随して、まあ過去にもやっているのですが、当然こうなります。更に高回転向きです(汗)。文句ありません。
再度話しは変わるのですが、僕のマシン250SXFのインジェクション・電装関係に関する故障探究の結果です。
今年に入ってからまた、結構長い時間故障して動いていませんでした。結論から言うと今回はインジェクターの詰まりって事でした。何度もしている故障探求ですが、電装関係も頻繁にトラブリますので、ここまでたどり着くのに結構時間がかかります。一目散にここまで来れませんでした。結果だけ見るととても簡単なんですけどね。
ですが、二年ほど同じマシンに乗ってきて故障探求のコツもなんとなくですが解ってきた気がします。
ここでは故障探求のコツよりも、故障を未然に防ぐ方法を書きたいと思います。こちらのほうが役に立ちそうですし、前向きですよね。
KTM本社からのインフォメーションでプラグキャップを交換しました。対策品になります。
元々のキャップは、走行を繰り返しているうちに抵抗値がなくなります。5kΩなくてはならない抵抗値がゼロになってしまいます。で、ノイズが出てしまい電装系のトラブルにつながって来るみたいです。当然交換しました。
対策後のキャップはたまに点検してみるのですが、やっぱり性能は安定しています。
これも対策品になります。インジェクターに入る直前にこれがセットされています(11モデルには付いていませんでした)。左が従来品で右が対策品になります。このあたりは皆さんも当然交換されていると思います。
でも更にもうひと作業が必要だと思います。出来る限り、走行後の洗車のあとは必ずこのフィルターをクリーニングするのがお勧めです。毎回交換がベストなんでしょうけど、クリーニングでも良いかな?ってとこですかね、僕的には。
これをするようになって、ここのところ絶好調ですよ(笑)。
これは当然必要ですね。最初に大きなごみをとる、まずはここから管理したいですよね。
このフィルターにしても、インジェクター手前のフィルターにしても、相当目が細かく出来ています。それだけゴミに対しては敏感でなければならないってことだと思います。
フューエルポンプって僕はまだ壊れたことがありません。お客さんのマシンでもまだ見たことがないのですが、ポンプもやっぱりよく故障するみたいです。
写真は燃圧計でポンプの圧力を点検しているシーンです。一番簡単な方法は、正常なタンクをポン付けしてみるって事なのですが、いつも同じバイクがある訳ではないですし、たまたま有ってもそれぞれの車両が何処か故障していて「このタンク(燃料ポンプ)は本当に信用できるのかなー(笑)」って状況もありました。まあそんな時はこれがあると便利だと思います。
故障を未然に防ぐ方法として、これも。
やっぱり洗車した後にコネクター類を全部クリーニングします。エアで吹いた後、接点復活剤を吹いています(パーツクリーナーでもOKかな?)。スロットルボディー周辺はなかなか外しにくいと思いますが、毎回やっているうちに慣れてきますので、時間もかからなくなります。慣れればそれほど面倒でもないですよ。
以上、たったこれだけの作業で、ここのところ全くトラブルが出なくなりました。すでにやってるよって人がもしかしたら殆どかもしれないですが(汗)、僕としてはようやくここまでたどり着いたかなあといったところです。いやー、ほんとすみません。。
トラブルが出なくなってくると、俄然このマシンは面白味が増してくるんですよねー。
写真はユーザーセッティングツールで、マップの書き換えを行っています。このマシンでは実はまだ何回も使っていませんでした。性能が安定してきたのでようやく活躍ってとこですね。
この前はサンドコースを走る機会があり、初めてアグレッシブっていうフルパワーを試してみたりしました。通常は去年のモデルの時に自分で作ったエンデューロ用のマッピングにして走行しています。結構性能が体感できますので、こんな遊び方も面白いと思います。本当に退屈しないマシンですよ、これは。